私は平凡な大学一年だ。
薔薇色のキャンパスライフを送ろうと目論み、入学前に髪の色を茶色に染めて、お洒落に気を遣って服を調べて買い込んだ。
それにも関わらずだ。結果は見事に惨敗。女子にモテるとは程遠い生活を送る日々だ。何故なのだ。何故モテないのだ。
そうこうしている間に今年ももう終わってしまうではないか。単身、大学近くのアパートで独り暮らしの私。クリスマスは一人きりで過ごすことになるのか。私は焦っている。
可愛い彼女をゲットして楽しい大学生活を送りたかったのに。
入学当初は出会いを求めてテニスサークルに入ってみた。だが、周りの雰囲気に馴染めず行かなくなってしまった。会話術の本も読んで準備していたのに上手くいかなかった。
私が夢見たキャンパスライフとは程遠い現実を生きている。
現実を変えたい。分かっているのだ。その為にはもっと積極的に行動していかないといけないことは。しかし、飛び込む勇気がないのだ………。
何かできることはないかのか。
………。
ランニングしてみようか。
そんな思考が私に降り注いだ。最近、太ってしまい顔に肉がついてきいるように感じる。
よし、そうだ。
ランニングをして体を引き締めればモテるかもしれない。一人でもできるし、いいじゃないか。
そう思い至って、早速走るぞと意気揚々、私は走る準備を始めた。
晩御飯を食べて、まだ風呂に入ってなかったから、丁度いいじゃないかと、ジャージに着替えて外に出た。
「寒い!!」思わず声が出てしまった。
時刻は夜の9時を回っていた。外は夜の闇の支配下になり、冷え込んでいた。
いやぁ、私は何やっても空回りだな。もっと気温の高い夏場に走れば良かったものを。しかし、私は走るぞ。ここで寒いからって辞めたら、暖かくなる3月まで待たなければならないことになるのだ。
私はアパートの階段を駆け下りて走り始めた。
意外にも走り始めると、体が温まってきて夜風の冷たさが心地良かった。
はぁはぁ。
30分程走ってから家路に着き風呂に入ると、「充実感があるな」そんな声が漏れた。
ランニング、続けてみるか。