【前置き】
どうも、虫虎です。今回は歌人である俵万智先生の著書「短歌をよむ」の読書感想を書きます。宜しくお願いします。
【どんな本?】
歌人の俵万智さんが短歌の読み解き方、その魅力、歌人世界のこと、自身の短歌への想いを綴っている本です。
俵万智さんとはどんな人か気になる人、短歌の世界に興味のある人、短歌の魅力に触れてみたい人にお薦めの本ですね。
【一字一句に魂を込める】
短歌は五七五七七の三十一文字で伝えたいことを表現しなければならない。となれば、一字一句を大事に考えないといけない。少ない文字で多くのことを伝えることができるのが短歌なのかなと思いました。
そして、三十一文字に想いを凝縮させて綴る行為って凄く素敵な行為だなと本書を読んでいて思いました。
さらに、昔の人たちが三十一文字に込めた想いを読み解いていくのも楽しいなと感じました。
【僕もより良い言葉を探そう】
僕自身はブログで文章を綴っている訳だけれども、その文章の表現をもっと考え込んで、綴りたいという意識が芽生えました。「どんな表現にしようか」「どんな言葉を選択しようか」そんな考えを積み重ねていくことは、文章を作る楽しさに繋がるのかなと思えました。
さらには、もっと読む人の心に響くような、楽しく読めるような、誰かの為になるような、自分が美しいなと感じられるような表現力を手に入れたいなと心の中で沸々と想いが募ってきました。
【短歌について学びたい】
本書を読んでいて「短歌について学びたい」という気持ちになりました。
何百年も昔に読まれた短歌が現代に残っているということは、よくよく考えてみると凄いことなんだと本書を読んで実感しました。
そして、その想いについて考える行為は、昔の人の気持ちを知ることに繋がる。それって凄く貴重な体験なんだなぁと感じました。
凝縮された想いが時を越える。
「言葉とは本当に不思議な生き物だ。たとえ千年たっていても、一つの歌が口ずさまれれば、それはたちまち千年前の鮮度のまま蘇る」
(「短歌をよむ」より)
【素人の時代という難題】
本書を読んでいて「素人の時代」という話が面白いなと思いました。
短歌は技術や技巧を磨けば磨くほど、また経験を積めば積むほど、必ずしも感動的な短歌を読める訳ではない。
一つの短歌を作るときに、自分の技術が低ければ伝えたい想いを歌にのせるために必死になって言葉を探し一つの短歌に想いを沢山込める。反対に自分の技術が上がれば丁度収まりのいい言葉がすぐに見つかる場合が多くなる。
そんな場合に、技術が低い人が必死になって想いを込めて作った短歌の方が型式や技巧が優れていなくても人の心を揺さぶることがある。
短歌には正解があるわけでもなく、技術が優れていればいいというわけでもないというところが難しくも面白いところだなぁと感じました。
プロの歌人の方は大変だろうと思いますが。
【好きな短歌】
僕が本書を読んでいて、例題として挙げられた短歌の中で「あーいいなぁ」と感じたについて書いてみます。
「東海の小島の磯の白砂にわれ
泣きぬれて蟹とたはむる」
(石川啄木)
海→小島→白砂→蟹と視点が小さくなっている。この解説の読んでから短歌を読み直してみると、自分の視点がどんどんクローズアップしていく感覚になっていって面白く感じました。
「さくら散る木のした風はさむからで空にしられぬ雪ぞ降りける」
(紀貫之)
Sの音が多い。さらさら散る花びら、さわさわ吹く風、見上げればさらにさらさら散る花びら。読んでみると、改めて音がいいなぁと思えた短歌でした。
「うたたねて恋しき人を見てしより夢てふものは頼みそめてき」
(小野小町)
うたた寝で恋しき人を見た。うたた寝でもいいからもう一度恋しき人に会いたいなという意味です。どうしようもなく相手のことが好きな片想いが切なく感じます。
「夕されば野べの秋風身にしみてうづら鳴くなり深草の里」
(藤原俊成)
夕暮れになると、野辺の秋風がしみじみと身にしみて感じられ、鶉もまた切なそうに鳴いている、この深草の里に…。寒々とした情景が浮かんでくる寒さを感じる短歌ですね。
「咲きそうな花が黄色くふくらんで今朝のやさしき会話のひとつ」
(俵万智)
日常のちょっとした幸せが感じれていいなぁと思いました。
「遮断機のあがりて犬も歩きだすなにごともなし春のゆふぐれ」
(小池光)
何でもない日常を巧く彩ってくれるのも短歌なのかなと思いました。
【まとめ】
俵万智先生の「短歌をよむ」を読んでみて、短歌の魅力に触れることができて興味を持つことができました。
また短歌関連の本も読んでみよう。