「お疲れっす」俺は山中を見つけて隣に座った。
「おぉ、お疲れ。今日は定食なんだな」山中は微笑した。
「そうっすね、前に話してもらってからカロリー計算してるんですけどね。いやぁ、なかなか消費カロリーよりも摂取カロリーを抑えるのって厳しいっすね」
「そうだろうなぁ、ついつい食べ過ぎてしまうものだからな」山中は前回と同じような茹で野菜と焼いたチキンの弁当を食べていた。よくやるなぁと俺は内心思った。
「食べたものの摂取カロリーと運動による消費カロリーを調べてるんすけど、自分の中では抑えめに食べてるつもりでも一食で軽く800kcalくらいいってしまうっすね、なのに消費カロリーの方は30分のランニングで300kcal位っていうんだから厳しいっすね」
そう、調べたとき、運動が思ったよりカロリーを消費しないことに愕然としたのを俺は思い出した。
「カロリーコントロールは難しいな。摂取カロリーはすぐ増えるのに消費カロリーはなかなか稼げないからな」山中は共感の笑みを浮かべていた。
俺はこのカロリー収支に苦心していた。俺が目指したのは、摂取カロリーを1700kcalに抑えて、消費カロリーを基礎代謝と活動代謝で2000kcal以上にしていこうとしているけど、油断するとすぐにに摂取カロリーが消費カロリーを越えていってしまう。
「まあ、今日はカロリーがどの栄養素から発生するか説明しようか」
「はい、お願いします」
「三大栄養素って聞いたことあるか？」
「はい、ありますね」
「そうか、三大栄養素はたんぱく質、脂質、炭水化物のことでそれぞれこいつらがカロリーを持ってるんだ、それで、たんぱく質は1g辺り4kcal、脂質は1g辺り9kcal、炭水化物は1g辺り4kcalを有してるんだ」
「へぇ」
「何か食べ物買ったときに袋の裏にたんぱく質◯◯g、脂質◯◯g、炭水化物◯◯gって記載してあるからまた見てみるといいぞ」
「その三大栄養素のバランス、英字の頭文字をとったPFCバランスが大事なんだ」
「PFCバランス？」俺は聞き返した。
「うん、たんぱく質はProtein、
脂質はFat、炭水化物はcarbohydrateでその頭文字をとってPFCだ」
「ほうほう」
「確か厚生労働相は、たんぱく質15~20%、脂質20~30%、炭水化物50~60%の割合でとることを推奨してるんだが、運動する人は筋肉の兼ね合いでもう少したんぱく質の割合を増やしていった方がいいな」
「へぇ、そうなんっすね、カロリーの内訳も考えなきゃってことっすか」俺は驚いた。なるほどなぁ。俺はカロリーのことが少しだけ見えてきた気がした。
「PFCバランスも大事だということだ。まあ、実際は摂取カロリーと消費カロリーをネットの目安で調べても誤差はあるんだろうけど、おおよその目安を数字で把握するのは大事なことだな」山中は言ってチキンを食べ始めた。
なるほど、俺はまた少し賢くなった。体重絞ってやるぜと心の中で意気込んだ。
