【前置き】
どうも、虫虎です。今回は東野圭吾先生の小説「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の感想を書いてみます。ネタバレありますが、宜しくお願いします。
【あらすじ】
窃盗をした若い三人組の男達は夜が明けるまで古びた無人の雑貨店に忍び込み身を隠すことにした。その雑貨店は、過去からの悩み相談の手紙が舞い込んできて、しかも、それに回答できるという不思議な空間だった。その悩み相談の空間から様々な奇蹟が巻き起こるのであった。
【悩み相談という素敵なサービス】
インターネットの発達していない時代において、周りの人には言えないような悩みを抱えてしまった場合、匿名で相談することは叶わないです。
そんな時代の中で、悩みに真摯に向き合ってくれる第三者の存在って凄く貴重なものなのかとしれないと僕は思いました。
ナミヤ雑貨店の悩み相談は素敵なサービスだなぁと読んでいて感じました。
【奇蹟の連続が素敵】
物語の登場人物が多くて、悩みを抱えた人達やナミヤ雑貨店の店主や親族達が偶然という名の奇蹟として過去と現在で出会い関わったり、時には影響を与えたりしていきます。
そんな奇蹟としか表現しようのない展開の連続が面白くて、ページをめくる手が止まらないですね。
この人とあの人が出会うんだとか、この人ってあの人のことだったんだとか、こういう展開になるのねって具合に物語内容に感嘆することが多かったです。
【悩みの答えって何となく自分の中にあるもの】
読んでいて、誰にも言えないような、どうすればいいのか分かりかねるような悩みであっても、本人の中ではぼんやりとどうしたいのかが決まっているものなのかなと感じました。
悩み相談を受ける人は、合理的な回答を探すのではなくて、相談者のことを受け入れる包容力や本音を探り当てる読解力や行きたいところへ背中をそっと押してあげる力の方が必要なのかもしれない。
悩み相談って合理的な回答よりその人に寄り添ったものが必要なのかもしれないのです。
「長年悩みの相談を読んでいるうちにわかったことがある。多くの場合、相談者は答えを決めている。相談するのは、それが正しいってことを確認したいからだ」
(「ナミヤ雑貨店の奇蹟」より)
【まとめ】
悩み相談を題材に巻き起こる奇蹟の連続の展開が面白い小説でした。