ランニング好きライトゲーマー虫虎(小説家志望)の日記

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読書「リンの谷のローワン」感想

【前置き】

どうも、虫虎です。今回は、オーストラリアの作家エミリー・ロッダ先生のファンタジー小説「リンの谷のローワン」シリーズの感想を書きます。一巻毎に感想を書き連ねています。ネタバレありますが、よろしければお付き合いください。宜しくお願いします。

 

【ローワンと魔法の地図】

『あらすじ』

村を流れる川が枯れた。川の水を取り戻すために、村の猛者達と何故か気の弱いローワンが伝説の竜が住まう山の頂へと魔法の地図を頼りに旅立つのであった。

 

『感想』

児童向きのファンタジー小説ですね。とても読みやすいし、読み心地がいいです。

 

内気で臆病だけど、優しい心を持っている子が主人公というところも個人的に好印象です。

「怖がりながら先へ進むんだ。それが本当の勇気なんだ」

「ローワンと魔法の地図」より

 

「小さくて弱い者が、本当は一番強くて勇敢だったんだ」

「ローワンと魔法の地図」より

 

気の小さな子が努力し、成長し、活躍する展開は読む人に勇気を与えてくれますね。

 

次巻が楽しみです。

 

【ローワンと黄金の谷の謎】

『あらすじ』

リンの谷には「旅の人」が訪れる時期がある。ちょうど、「旅の人」が訪れたときに事件は起こった。リンの谷の危機を救うべく、ローワンは以前「黄金の谷」があったと語られる「アンリンの魔界」へ足を踏み入れるのであった。

 

『感想』

「ムヨウギク」の無用さと「ヤマイチゴ」の素晴らしさの対比を表現しつつも、実のところは「ムヨウギク」が鎧であり、「ヤマイチゴ」が邪悪なのものだったのだ。

 

ローワンは「ヤマイチゴ」の眠り病の効果を受けなかったり、魔界のヤマイチゴの木々を噛みついただけで退けることができたのも、実は「ムヨウギク」の花粉症のおかげだったのだ。そんな伏線の回収の巧さに感銘を受けました。

 

「空気を吸って生きていられるだけで、空をあおぎ見られるだけで、楽しいと思えるようになったのだ」

「ローワンと黄金の谷の謎」より

 

ヤマイチゴ(良い物)を村の人(自分)だけで欲張らず、周りの皆で分け合うという心の優しさやゆとりを持つことの大切さを伝えてくれる本第二巻です。

 

【ローワンと伝説の水晶】

『あらすじ』

海辺に暮らすマリスの民に危険が迫る。マリスの民を統べる水晶の司の寿命が尽きかけているというのだ。命果てる前に、新たな司を選任しなければ、マリスの民は元々分かれている三部族で争い始めてしまう。その部族を垣根を越えて統べることのできる力を持つ水晶の司を選任する役目を担っているのが、代々リンの谷のローワンの母ジラーの家系であったのだ。

 

ジラーとローワンは海辺の町マリスへ向かうことになったのだ。

 

『解毒薬を作るという謎解き』

マリスで母ジラーが毒を盛られて、ローワンが解毒薬を作るという展開になります。その過程でローワンがマリスの民の三部族の代表達と協力して、謎解きする展開が紆余曲折あって面白いですね。

 

『謎からの繋がりが面白い』

緑鳥が他の鳥から池の魚を守る。その生き残った魚が海蛇の卵から孵った赤ちゃんを食べる。だから、マリスの海は海蛇だらけにならない。となると、マリスの民は漁をして、食料や皮や油という恩恵を受けることができているという事実が判明しました。

 

ちょっとずつ起こる事象が実は関わり合って繋がってるという展開が読み応えあって好きです。

 

『伏線回収』

最後の海の向こうの艦隊ゼバックの侵攻のところの展開にも驚かされました。あの伏線はここで活かされるのかと感嘆させられる展開が読んでいて楽しいですね。

 

「マリスの水晶の司、ぼくは強くなります。だけど、ぼくなりのやり方で強くなるんです」

「ローワンと伝説の水晶」より

ローワン君も気が弱いなりに頑張っております。

 

【ローワンとゼバックの黒い影】

『あらすじ』

海の向こうの野蛮民族ゼバックがリンの谷に目をつけた。リンの谷へ攻めこんで自国の奴隷の数を増やそうという魂胆だ。

 

まずは、リンの谷を攻めるべく偵察用の調教ドラゴン「グラック」を放った。グラックは海と山を越え、リンの谷へ舞い降りた。そして、ローワンの妹のアナドを連れ去ってしまったのだ。

 

悲しみにうちひしがれながらも、ローワンは仲間と共にゼバックの地へアナドの救出に向かうのであった。

 

『感想』

第四巻は、リンの谷の人達の過去が明らかになります。何故、リンの谷の村人は、皆、勇敢なのか。何故ローワンだけその気質を持っていないのか。謎が明らかになっていきます。

 

そして、攻略不可能のゼバックの地で仲間と共に死線を潜り抜けていく展開が面白いのです。個性豊かなローワンの仲間の活躍は読んでいて心踊りますね。

 

大人しくて、恐がりな子どもだけど、優しさと知力と勇気があれば乗り越えれるんだっていうリンの谷のローワンの物語が僕は好きです。

 

綺麗にまとまっていて読みやすかったです。

白熱の太陽だけが、かまどの火のように、大地をじりじりと焼いているのだった

(「ローワンとゼバックの黒い影」より)

アランとジールとパーレンが好きになる第四巻。

 

【ローワンと白い魔物】

『あらすじ』

リンの谷に突如として訪れた長く厳しい冬。その寒気はいつまで待っても収まらなかった。リンの谷の貯蔵してあった食料は既に尽きかけていた。

 

村人達は意を決して残り僅かな食料を携えて海辺の町マリスへと助けを求めるべく、行脚することとなった。

 

しかし、ローワンはその行脚に参加しなかった。何故なら、家畜のバクシャー達が既にその行脚に耐えうるだけの体力を持ち合わせていなかったからだ。

 

リンの谷に残ったローワンと数名の村人、ノリスやシャーランに禁じられた山から白い魔物の影が忍び寄るのであった。

 

『再び山登り』

第一巻「ローワンと魔法の地図」で登った禁じられた山を寒気の原因を探るべく再び登ることになります。

 

雪山登山中にローワン達に襲いかかる様々な試練が僕を夢中にさせました。心惑わす幻、生気を吸い取るヒトデ、迫り来る無数のアイス・クリーパー。

 

雪山から繰り広げられる冒険を読み進めていくのが子ども心をくすぐってくれて楽しかったです。

 

『謎の詞を解き明かす展開』

ローワンシリーズ五巻目にもなれば、いつもの謎の詞を解き明かす展開にも慣れました。

 

この詞はどんな意味なんだろうと考えても分からないけど、考えながら読み進めつつ、意味が明らかになってきます。

 

二週目読むなら、また感じ方も変わって楽しめるのかなと思います。

 

『本当は皆違って皆いい』

ローワンは強くて勇敢な村人ばかりの谷で浮いた存在だった。けど、本当は勇敢な人、心の優しい人、芸術性に長けている人も皆違って皆いいということを物語を通して改めて伝えられました。

リンの先祖たちはその昔、弱い者も強い者も、勇敢な者も心やさしい者も、芸術家も戦士も、みんないっしょにひとつにまとまって暮らしていたのだ。その先祖たちをゼバックが二つに分けて、心やさしい者たちは奴隷としてゼバックの地に残し、強くて勇敢な者たちをここへつれてきたのだ

(「ローワンと白い魔物」より)

 

『生態系の乱れが全てを狂わす』

ネタバレですが、黄金の谷の人々は黄金の川の流れを早くするためにバクシャーを山へ行かせないようにした。

 

結果、黄金の川は流れが早くなった。確かにバクシャーが山へアイス・クリーパーの巣の隙間を塞ぐ灰色の物体を食べに行かなくなったことで山の心臓部の熱気は放出されず、川への圧を高めた。しかし、熱気が塞がれたために山の上の方で寒気を作り出すアイス・クリーパーか異常繁殖してしまい凍えるほどの冬が訪れることになってしまった。冬は終わることを知らずに、黄金の谷の人々を滅ぼすこととなった。

 

黄金の谷の人々は、こんなことになってしまうこととは思わなかったのだろうけど、結果的に自分達の金を増やそうとして、生態系を乱して滅んでしまった。

 

この事から考えられることは、欲を満たすために周りを見なかったのがまずかった。人間のちょっとした欲で環境は乱れ、それが大きな影響を及ぼすことになってしまう。そういう歴史があったことをひた隠したこともまずかった。

 

周りのことを考える。欲張らない。失敗を隠さない。人が大事にしないといけないことをちゃんと物語を通して伝えてくれるとてもいい本だなぁと僕は思いました。

 

「きっとずっと昔から、バクシャーの群れは、冬の食料を得るために、この洞窟までやってきてたんだ。だから、毎年洞窟の天井には穴があいて、アイス・クリーパーが退却し、バランスがとれていたんだ」

「ローワンと白い魔物」より

物語の展開が面白かったです。

 

【まとめ】

以上、「リンの谷のローワン」シリーズの感想でした。