【第1話】
かさかさと小さな物音がした。
(……来た……!)
ベットの中の男の背筋は凍りついた。
謎の声「……起きているか?」
男「……はい」
謎の声「生け贄が尽きた。そろそろ次のを寄越せ」
男「いや、しかし……」
謎の声「寄越さなければお前の家族がどうなるか分かるだろう」
男「……分かった。なんとかする」
かさかさと物音は遠ざかっていった。
この数分の間に男の全身は汗だくになっていた。
〜
エレン「着いたわ。ここがギドラントの村ね」
タチアナ「エレンちゃん、小さい村だねー、何もないじゃない」タチアナは「疲れたー」と不服そうな顔をした。
ウォード「ここにはオーラムを稼げそうな仕事もなさそうだな」ウォードはトレードマークの赤色とんがり帽子のつばを少し下げた。
ロビン「ひとまず、宿で休ませてもらいましょうか」
サラ「そうね。ロビンさん。ここでアビスの手がかりが掴めたらいいね、お姉ちゃん」
エレン「そうね、サラ」エレン達一行は今日のところは宿で使えた体を癒すことにした。
翌朝。
エレン「皆、おはよう」今日は村の人々に聞き込みをしようと皆で昨日決めていた。エレンは着いたときから、この村の雰囲気の重苦しさが気にかかっていた。この村には何かがありそうだった。
サラ「こんにちは。私達は世界を旅しているのですが、ここの村の人達は元気がないように感じますが、何かあったのですか」サラも同じように感じているようだった。
村人「……生け贄だよ」
ウォード「生け贄?」
村人「ああ、この先に洞窟があってな。そこに住み着いた主がこの村の人間を欲してるんだ」
全員「えっ」
村人「近隣の村や町にも助けを乞うているんだが、皆、自分たちが可愛いから知らんぷりさ」男は苦悩の表情を浮かべて続けた。
村人「だから、俺たちは次の生け贄が誰になるのかとビクビクしながら生活してるのさ」
エレン「生け贄はどうやって決まるの」
村人「村長のところにお告げが来るらしい」
エレン「村長のところにお告げ……?」
〜つづく〜