走りたくなる物語⑤~一月編~

【一月編⑤】

今年は珍しく雪が積もった一月初旬。

 

俺の気分は憂鬱だった。長かった正月休みが終わり明日から仕事が始まる。仕事は嫌いではないけど、行かなくていいならそれに越したことはないなと怠け者モードが抜けきらない。

 

そして、もう一つ憂鬱なことがある。俺はずっと避けていた脱衣所の片隅に置いてある台に何日かぶりに乗ってみた。

 

◯◯kg。

 

まあそりゃあんだけ食べたらそうなるわな。もしかしたら変わってないという僅かな希望も一撃必殺で打ち砕かれた。予想通りの結果だった。

 

3kg も太ってる。

 

完全なる正月太り。我ながら僅か二週間でよくもまあこんなに肥えたなと絶望する。職場の忘年会から始まり、彼女とのクリスマスケーキ、帰省してからの年越蕎麦、おせち、雑煮、おかんが気合い入れて作るいつもより豪華な晩御飯、親戚の伯父さん達との飲み、極めつけは暇をもて余しただらだら食い。年末年始の体重増加は不可抗力だ。

 

俺はこの重たい身体と明日からの仕事で憂鬱な気分だった。

 

早くこいつ(脂肪)を何とかしなければ。

 

明日から仕事だし、一念発起してダイエットも頑張るか、そう誓ってその日の俺は寝た。

 

翌日、仕事始めも無事に終わり家路に着いた俺はすぐにジャージに着替えた。

 

よし、走るぞ。俺は既に太陽が地球の裏側へ向かって行ってしまった闇の世界に消えていく。

 

 

 

あれから三週間が経った。俺は体重計の上でうちひしがれていた。体重が三週間前と変わっていないだと………。三週間ずっと走ってるのに変わってない。いや、走り初めは確かに体重は減っていた。けど、戻ってる。なんでだよ。

 

いや、理由には心当たりがある。

 

年末年始に育て上げた俺の食欲の暴走が留まるところを知らないからだ。運動しててもそれ以上に食べちまったら意味がないよな。

 

俺はすっかりへこんでしまった。


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