ランニング好きライトゲーマー虫虎(小説家志望)の日記

ゲーム、ランニング、文章書き、読書、昆虫、子育て、オナ禁、映画、人間関係、音楽、僕が考えていることなどを書いている雑記ブログ

読書「指輪物語」1〜9巻までの感想

【前置き】

どうも、虫虎です。今回は、トールキン先生の「指輪物語」シリーズの1巻〜9巻までの感想をまとめます。ネタバレありますが、よろしければお付き合いください。よろしくお願いします。

 

指輪物語1 旅の仲間上1】

恐ろしい闇の力を秘める黄金の指輪をめぐり、小さいホビット族や魔法使い、妖精族たちの、果てしない冒険と遍歴が始まる。数々の出会いと別れ、愛と裏切り、哀切な死。全てを呑み込み、空前の指輪大戦争へ―。

(「BOOK」データベースより)

 

 指輪物語の舞台となる世界のことやホビット、エルフ、ドワーフ、指輪、その歴史についての説明に文庫本1巻費やしています。これから始まるであろう壮大な冒険を予感させる第1巻です。

 

ホビットの種族設定が好き】

 ホビットは平和と静けさ、自然をこよなく愛する種族です。綺麗な田園が彼らの棲処となります。彼らは表に出たがらず、仲間内で飲み食い、冗談を言い合うことが好きなのが特徴です。他種族が近くに来ようものなら、自種族の特殊能力である「隠身」を使い、姿を消してしまいます。その為、彼らの存在を知る者はいないのです。背丈は小さくて、器用な長い指を持ち、足の裏は固く靴を履きません。陽気で平和的な種族です。

 

ホビット族の平和的で静かさや自然を好むところに僕は共感を得ました。冒険小説の主人公は少し頼りないくらいが物語を面白くしてくれたり、成長に感動できてたりして個人的には好きだったりします。

 

続きが気になりますね。

 

 

指輪物語2 旅の仲間上2】

 いよいよ始まった恐ろしい黒の乗手からの逃走の旅路。森林、丘陵、沼地、荒地と険しい道のりは冒険ロマンを感じざるを得ないです。

 

自然の中を冒険している描写は読んでいて楽しい気分になれますね。自然に畏敬の念を感じる。そんな冒険の2巻目でした。

 

【大人向けファンタジー

 解説にも書いてあったけど、指輪物語は大人向けのファンタジー小説ですね。文量が多く、内容も高度、加えて壮大な自然描写を頭に描写するのも高い想像力を必要とします。だから、読んでいると頭を凄く使って良い感じに疲弊します。読書したっていう充足感を得られるのも指輪物語の良さの一つです。じっくり読み込むと味が染みでる小説といった感じでしょうか。

 

ファンタジー小説の醍醐味】

ファンタジー小説の楽しさの一つとして自然描写があると私は思っています。文字としての自然描写を脳内で想像させて広大な世界を冒険する。これもファンタジー小説の楽しいところですよね。指輪物語はその広大であり、畏敬の念を感じるほどの自然が作り出す舞台を歩き回っていきます。空想を巡らすのが楽しいと読んでいて思いました。

 

 

指輪物語3 旅の仲間下1】

 

【概要】

 前半部は指輪の歴史の説明、後半部は新たな仲間たちとの冒険という3巻目です。

 

【本格冒険の始まり】

脅威的な自然や坑道を冒険する描写に胸が踊る体験ができます。文章の世界を頭の中で膨らませながら読むのが楽しいですね。

 

【イムラドリスの強壮飲料】

 エルフ族のエルロンドから貰ったイムラドリスの強壮飲料。これを飲むと、驚異的に気力と体力が回復する。こういうアイテムは冒険感があって好きですね。不思議なアイテムもファンタジーの醍醐味ですね。

 

ミスリル

それから、ミスリルって言葉は指輪物語からきたことを知りました。後のゲームの世界へ多大な影響を与えてる凄い小説だと改めて感嘆します。

 

面白い小説ですね。

 

 

指輪物語4 旅の仲間下2】

 

【あらすじ】

モリア坑道で闇よりいでし者バルログに襲われ、痛手を追ったフロド一行はロスロリアンというエルフの里へ辿り着く。休養中にも世界は闇に包まれていく。果たして世界の行く末はどこにあるのか。

 

【人里離れたエルフの里の美しさ】

フロド一行が訪れたロスロリアンの地の描写が美しくて、空想に浸ると癒やされました。悠久の時の中でその美しさを変わらず保ち続けている場所というのは、自分達では作り出すことのできない神秘的なものですね。

 

まさしくエルフの原点といった雰囲気が気に入りました。

 

「木や踏みしだかれた草の匂いがしました。頭上にそよぐ葉ずれの音にもたくさんちがう音色が聞きとれました。右手には遠くさらさらと流れる水の音、空には鳥の澄んだ鳴声がかそけく聞きとれました。林間の空地を通る時には、顔と手にさんさんと降りそそぐ日の光を感じました」

(「指輪物語4 旅の仲間下2」より)

 

ガンダルフの消失】

指輪破棄の成功への要であったガンダルフの消失は痛手でした。ガンダルフがいなくなると、フロド一行の旅路は困難を極めていくのがひしひしと伝わりました。

 

ガンダルフの存在感を改めて実感するし、旅には頼りがいのある案内人が必要だなと思いました。

 

イカダで川下り】

イカダで川を下っていくときの情景描写にわくわくしました。暗雲立ち込める雰囲気がひしひしと伝わってきて「冒険してるな」って感じでした。

 

「島の山腹は流れる水の中から切り立って聳えていました。高い崖の上には木々の生い茂る急峻な斜面があり、木々の梢が順に山を這い蔽っていて、さらにその上には近寄りがたい岩が灰色の面を見せ、山頂には尖塔のように聳える岩がありました」

(「指輪物語4 旅の仲間下2」より)

 

指輪物語5 二つの塔上1】

 

 

【あらすじ】

オークに捕らえられたピピンとメリーの跡を追うアラゴルンギムリレゴラス。その道中、一行は大騎馬部隊ローハンの騎士たちに出くわす。

 

その数日前、オークとローハンの騎士たちの戦闘時にピピンとメリーは命からがらオークの包囲から抜け出しファンゴルンの森へと入り込むことに成功した。

 

そこで、エント族の長である木の髭に出会うのだった。

 

ピピン大活躍の5巻】

魔法使い、エルフ、ドワーフ、人間の王族といった強者どもがいる中では、ホビット族のピピンとメリーの影はどうしても薄くなります。

 

しかし、この5巻になりピピンとメリーは大活躍します。本書の大半はピピンとメリーの行動が記してあります。

 

オークに捕らえられて誰にも助けてもらえない状況下で彼らは底力を見せつけてくれます。

 

オーク包囲網からの脱出劇、エント族との戯れを読み進めていくのが楽しかったです。

 

「トゥック若旦那よ、君はなかなかよくやったようだね」〜「君はビルボじいさんの本の中で一章もらえるくらいだよ〜」

(「指輪物語5 二つの塔上1」より)

 

【魅力的なエント族】

5巻に出てくる木を擬人化した太古の喋る生命体エントの存在が凄く魅力的でした。

 

僕たちと異なるゆったりとした時間感覚、どっしりとした価値観、悠々たる生き様、姿形、暮らしぶりなどが明らかになるにつれて興味を惹かれていきました。

 

本書は太古より生き続け、変化を好まず、悠久の時を過ごしてきたエントを存分に味わえます。

 

「エント族は、どっちかというとエルフに似ていてな、人間たちに較べると自分のことはあまり興味をもたず、他のものの中にはいるのがうまい。しかしエントはまた人間のようでもある。エルフより変わりやすく、いわば外界の色に染まるのが速い。」

(「指輪物語5 二つの塔上1」より)

 

ガンダルフ再び】

我らがガンダルフが帰ってきました。なんかとんでもない死線を越えてきたようです。

 

ガンダルフのセリフ読むの好きなんですよね。

 

生きててよかったです。

 

「没日は大地の縁に沈む時、草を赤々と燃やすかのようでした」

(「指輪物語5 二つの塔上1」より)

 

 

指輪物語6 二つの塔上2】

 

【あらすじ】

ヘルム峡谷で半オークとゴブリン人間との激闘を制したローハン騎士団とギムリアラゴルンレゴラス一行は本拠地アイゼンガルドへ歩を進める。辿り着いた先には見知ったホビットが二人いるのだった……。

 

【サルマン封印の6巻】

指輪物語の世界においてサルマンは中ボス的立ち位置なのだろうか。

 

第6巻の中でその脅威を遺憾なく読むことになります。アイゼンガルドで半オークとゴブリン人間を束ねつつ、自身の戦略を進めていく様は恐ろしいものがありました。下僕たちが出払っている間に、怒れるエント族とフルオンの森に攻め込まれてオルサンクの塔へ立て籠もるも、妖艶な話術で敵を術中に嵌めようとする様は恐ろしいものがありました。そんなサルマン大活躍のの第6巻。

 

「アイゼンガルドの半オークども、サルマンがけしからん技を使ってつくり出したあのゴブリン人間ども、あいつらは太陽にもひるみはせぬでしょう」

(「指輪物語6 二つの塔上2」より)

 

【まだまだ活躍するピピン

アラゴルンたちと旅をしていた初期の頃は見せ場はほとんどなかったピピンとメリーだけど、5巻に引き続きまだまだ活躍します。個人的にはアラゴルンギムリレゴラスとの合流シーンが好きです。

 

また、水晶を覗き込んで卒倒して事態を急変させるというキーマンぶりが良かったです。僕は結構ホビット族が面白い活躍するところが好きです。

 

【サルマンVSガンダルフ

声音のみで人々を洗脳しようとするサルマンに対峙するガンダルフが格好いい。

 

指輪の魔力に取り憑かれて隙ができたところに魔法使いの力量の差が出て、形勢逆転。

 

綱渡りな展開が面白いですね。

 

「わしが最後にあんたを訪ねた時、あんたはモルドールの獄吏(ごくり)じゃった」

(「指輪物語6 二つの塔上2」より)

 

【水攻め】

小川の流れを変えてアイゼンガルドを水浸しにするというエント族の水攻めが豪快でしたね。

 

 

指輪物語7 二つの塔下】

 

【あらすじ】

旅の仲間と離れ離れになったフロドとサムの話。二人だけの心細い指輪滅却の旅が始まった。サウロンの根城はまだまだ遠い。果たしてフロドとサムは二人で目的の地へ辿り着くことができるのか。

 

【苦難の旅路】

フロドとサムの旅は困難を極めます。死地へと向かう旅は物語の終焉を感じさせますね。ラストダンジョン前の盛り上がりどころですね。辛く重厚な旅を読むことができました。

 

ホビットたちが今立っているのは、露な吹きさらしの高い崖の縁でした。崖の麓は靄に埋まり、二人の背後には突兀と山海が連なっていて、峰々は雲に没していました」

(「指輪物語7 二つの塔下」より)

 

【ゴクリという案内人】

ここに来て敵であるはずの指輪に取り憑かれたゴクリ(スメアゴル)が活躍しますね。クソ野郎なんだけど、読んでる感じはそんなに憎めなかったです。可哀想なスメアゴルが物語を進めてくれます。ガンダルフとは違う案内人が困難の渦中、連れ回す。

 

「お前はそんなことをしたら気が狂うと知りながらも、できればあれを目で見、手でさわりたくてたまらないのだ」

(「指輪物語7 二つの塔下」より)

 

【ボロミアとファラミア】

ここに来てボロミア出現に驚きました。ファラミアが常識人の男前でよかった。この希望のない旅路が限界まで達する寸前になんとか休憩地点に辿り着けてよかった。ファラミアとの会話もよかったですね。

 

「われらは嘘はつかぬ、われらゴンドールの人間はな。われらはめったに大言壮語を吐くことはなく最後までなしとげるか、あるいはその途中で死ぬか、どっちかだ」

(「指輪物語7 二つの塔下」より)

 

【従者サムワイズ】

7巻の1番の読みどころはサムワイズVS太古の最強蜘蛛シェロブとの対決であると僕は思います。主人のことを想うサムの底力に震えました。そして、物語の主人公の座をも奪うのかと思いました。

 

しかし、人にはそれぞれの役割というものがあるもの。一瞬一人旅を決行するも違和感を感じて従者として目を覚ます展開が好きです。

 

「しかし一匹としてこのシェロブ太母、不幸な世を騒がすウンゴリアントの最後の産物であるかの女にかなう者はいませんでした」

(「指輪物語7 二つの塔下」より)

 

【象】

ジュウが出てくるところも好きだったりする7巻でした。

 

 

指輪物語8 王の帰還上】

 

【あらすじ】

一足先にゴンドールに辿り着くピピンガンダルフ。ローハンへ戻るメリーと騎士たち。死者の道を通る決断をするアラゴルンと野伏の仲間、ギムリレゴラスモルドールからの暗黒の襲撃の時は迫っている。絶望的な戦いが、今、始まろうとしていた。

 

【首の皮一枚つながる8巻】

モルドールの闇の勢力が強すぎてきついです。手に汗握りながら読みました。ギリギリの攻防を続ける展開に目が離せないですね。ローハンの老王、エオウィン姫、アラゴルンガンダルフたちの活躍が最高すぎる第8巻です。

 

「ロヒアリムの乙女、王家の子の、細づくりながら鋼の刃のように、美しいが、凄絶なことよ。すばやい一撃を姫は加えました。熟練した致命的な一撃でした。」

(「指輪物語8 王の帰還上」より)

 

アラゴルンの威容】

タイトルの「王の帰還」ってあまり気にしてなかったけど、アラゴルンのことだったのですね。この巻は、アラゴルンの王としての力が遺憾なく発揮されます。サウロンとの思念対決を経て、死者の未知を通り抜け、死者の道の亡霊を使って南に展開しているモルドール軍を追い払う。そして、ペレンノール野に救世主として現れます。さらには、サウロンの副官と名乗る者にオーラで圧倒します。覚醒具合が凄かったです。

 

モルドールの企みがこのような恐怖と暗黒の亡霊たちによって覆されるとは何と奇体で絶妙なことかとわたしは思ったもんだ。」

(「指輪物語8 王の帰還上」より)

 

【逆境に立ち向かう心】

現実もなんだけど、ファンタジーの世界においては特に逆境にどんなふうに立ち向かうかが大事になりますし、物語の見せ場になりますよね。未来を覗き見て絶望するデネソール候や攻め込まれて希望を失うゴンドールの民たちがいる中、僅かな希望の糸を掴んで手繰り寄せる勇気ある者たちの行動に胸を打たれました。

 

「わしらは武力では勝利はかちとれぬが、武力によって指輪所持者に唯一の可能性を与えることはできる」

(「指輪物語8 王の帰還上」より)

 

 

 

 

指輪物語9 王の帰還下】

 

【あらすじ】

指輪滅却の旅のクライマックス。満身創痍のフロドとサムは、力の指輪を滅びの山に投げ込むことができるのか。世界の命運は彼らの手に委ねられている。

 

【長い旅路の終わり】

長い長い冒険の旅が終わる第9巻です。そして、物語のクライマックスは前半部分に描かれています。構成としては、前半にフロドとサムの旅に決着がつきます。中盤は、その後のアラゴルンやエオメルなどの国の統治や旅の仲間の別れの話です。終盤は荒れ果てたホビット庄の立て直しの話です。

 

ネタバレになりますが、指輪滅却成功後の話のボリュームが凄いです。流石、長い長い旅路だったので、ハッピーエンド後の後日談も長尺でした。4人のホビットたちの成長が窺える話が良かったですね。

 

「食べものの味も、水の感触も、風の音も、木や草や花の記憶も、月や星の形も、一つとしてわたしには残っていない。わたしはむきだしになって暗闇の中にいるんだよ、サム」

(「指輪物語9 王の帰還下」より)

 

【ハッピーエンド後の儚さ】

サウロンを葬って大円団になったのだけど、平和の中の見過ごせない儚さもありました。

 

ガンダルフが「もう魔法使いの時代は終わった」と言ってみたり、アラゴルンが人間種族としての寿命の短さから治世や恋愛に憂いてみたり、フロドが旅の成功の代償から一生癒えぬ傷を負っていたりと儚いところも多かったです。

 

そういうハッピーエンドの中に隠してもいいような部分も描いているところがまたこの「指輪物語」の魅力の一つだなと感じました。

 

「いよいよここなる大海の岸辺において、中つ国でのわしらの仲間の縁が終わることになった。恙なく行かれよ!わしはいわぬ、泣くなとはな。すべての涙が悪しきものではないからじゃ」

(「指輪物語9 王の帰還下」より)

 

【まとめ】

以上、指輪物語1〜9巻までの感想でした。

 

ここまで読んでくださってありがとうございました。