【第3話】
「はぁ…はぁ…」村長は喘ぎながら森の中を駆けた。
村長「何をしているのだ、わしは……わしは……」立ち止まり、片手を木にもたせてうなだれた。
〜
タチアナ「えー、どうするの」
ロビン「まあ、私たちの力を信用してもらえなかったのでしょう。しかし、やることは変わりませんよ」
ウォード「ここでうだうだしてても仕方ねぇか」エレン一行は洞窟の奥へと進むことにした。穴道はコウモリや迷い込んだ小動物らしき生き物の骨があった。時折、鹿などの大型動物の骨も見かけた。
ウォード「こんな綺麗に食うかね」骨だけが綺麗に残っているのが不気味であった。
サラ「待って。この先になにかいるわ」耳を澄ますと遠くから動物の鳴き声が微かに聞こえた。
ロビン「皆さん、気を引き締めていきましょう」奥へ進むにつれ、鳴き声がはっきり聞こえてくるようになった。
エレン「一匹じゃないみたい」そのとき、突然、大きな地響きがした。巨大な黒い影が凄まじい勢いをもって迫ってきた。
エレン「皆、武器を構えて!迎え撃つわ」ゴーッという騒音とともにやってきた黒の影の正体はネズミの大群だった。
ウォード「なっ……」
アルジャーノン「次の生贄は5人もいるぞ」
タチアナ「何!?ネズミが喋ったよ」
エレン「タチアナ、油断しちゃだめよ」
ロビン「あなた方は何者なのですか?」
アルジャーノン「見れば分かるだろう。ネズミだ。お前たち、さあ、行け!」突如として何百匹いるかもわからないネズミの大群が一斉に押し寄せてきた。
タチアナ「きゃー!」
ウォード「ちっ、下がれ、地走り!」ウォードが大剣の大技「地走り」を放った。地面に突き刺した大剣から一直線に地割れが起こった。地割れはネズミたちに直撃。蹴散らした。しかし、攻撃を受けていないネズミたちがすぐさま迫ってくる。
サラ「でたらめ矢!」サラが素早い手さばきで矢を乱射する。ネズミたちを射抜くもすり抜けてくるネズミたちが迫ってくる。
エレン「くっ……」
ロビン「蒼龍術!トルネード!」詠唱を終え、ロビンが技名を叫ぶと目の前に龍の幻が現れ竜巻が起こった。体重の軽いネズミたちは瞬く間に一匹残らず吹き飛ばされていった。
タチアナ「見つけた!」タチアナが突然駆け出す。
タチアナ「アクセルスナイパー!」ネズミの大群の中でも一際眼光の鋭いネズミにタチアナのレイピアが閃光の速さで突き刺さる。
アルジャーノン「ぐっ……くそ」ネズミは息を引き取った。ブレーンを失ったネズミたちは統率を失い、混乱し、散り散りになっていった。
エレン「……やったわね」エレンは外を見渡した。
ウォード「なんとかな」
エレン「外に繋がっているネズミ穴はたくさんあるみたいだけど、私たちが通れそうな穴はあるかしら」エレン一行は洞穴の中を手当たり次第探した。しかし、出られそうな穴は見つからなかった。
タチアナ「ねーねーどーするのー」
サラ「入口の方へ戻ってみましょうか」
エレン「そうね。誰かいるといいわね」エレン一行がちょうど入口へ戻ってきたとき、閉ざされた岩が動き外の光が入ってきた。入口には昨日会ったギドラントの村人の男とその妹が立っていた。二人共浮かない顔だった。
〜つづく〜