【前置き】
どうも、虫虎です。今回は、小説「闇の守り人」の感想を書きます。ネタバレありますが、よろしければお付き合いください。よろしくお願いします。
【闇の守り人】
【あらすじ】
新ヨゴ王国にて、女用心棒バルサは王子チャグムに宿った水の精霊の卵を卵喰いラルンガから守り抜いた。この一件は、バンサの心境を変えた。バルサは二十数年ぶりに故郷であるカンバル国へ帰る決意をする。両親を殺し、バルサを地獄の日々へと追いやったカンバル国へ……。
【バンサ主軸の第2巻】
第1巻「精霊の守り人」はチャグムやタンダ、星読みの視点も多く、ずっとバルサにスポットライトが当たっているわけではなかったです。打って変わって第2巻は、バルサがカンバル国の謎を解きほぐしながら、ジグロの亡霊と決別するストーリーとなっています。バルサ主軸の物語です。第1巻では、割と冷静だったバルサの揺れ動く心情を読み進めていくのが楽しかったです。
「身体についた傷は、時が経てば癒える。だが、心の底についた傷は、忘れようとすればするほど、深くなっていくものだ。それを癒す方法はただ一つ。きちんと、その傷を見つめるしかない」
(「闇の守り人」より)
【貧しくも美しい国カンバル】
バルサと一緒に旅を進めることで私自身カンバル国が好きになりました。谷間の市場ラッサルや岩山に住まう童子、光石のある洞窟、乾いた空に芋くらいしか育たない大地が愛おしくなりました。そして、闇の守り人という神話です。空想の冒険が楽しかったです。ラガやラガール、カンバルの食べ物を食べてみたくなりました。改めて上橋菜穂子先生の描く大地は魅力的だなと思いました。
「バルサは空を見上げた。北国らしい、うす青い空で、ぬけるように高い。はるか高みで、ワシが、円をえがいて舞っている。大気が乾いているので、さっぱりとしたラカール(乳酒)が、とてもうまかった」
(「闇の守り人」より)
【長いしきたりには訳がある】
数百年続くしきたりって、いつの間にかその意味合いを風化させてしまいます。闇の中で行われる槍舞いは故意に世代交代させられて忘れ去らせているけど、そういうことって多いんだろうなと思いました。長い歴史の中に覆い隠された真実を掘り起こす展開っていいな読んでいてと思いました。
「それよりは、沈黙を守ることで、人びとに、この世には言葉で語れぬ、ふしぎな闇があることを信じさせたほうがいい」
(「闇の守り人」より)
【まとめ】
以上、「闇の守り人」の感想でした。
ここまで読んでくださってありがとうございました。