ランニング好きライトゲーマー虫虎(小説家志望)の日記

ゲーム、ランニング、文章書き、読書、昆虫、子育て、オナ禁、映画、人間関係、音楽、僕が考えていることなどを書いている雑記ブログ

自分ルール物語

 

四月ももう三分の二が終わった頃のこと。

「今月はあと四回でクリアだな」友也はカレンダーの前で頷いた。そして、首にかけたタオルで顔の汗を拭いながら、浴室へと向かっていった。

友也は何事も自分ルールを決めて、自分に課題を課していくことが多い。

一年程前に始めたランニングもそうだった。自分がなんとか頑張ればいけそうな目標を設定して、それをクリアしていくことでモチベーションを維持するという手法だ。

今は、月に75km以上走ることを目標としている。ペースとしては二日に一回5kmのランニング。今の生活状況と自分の体力を考慮してこのくらいならなんとかやっていけると判断したのだった。

シャワーを浴びた友也は支度を済ませ会社へと向かうのだった。

 

翌朝、友也は跳ね起きた。

(………しまった。寝過ごしたな。まあ昨日走ったしいいか)

ぼんやりと頭の中でそう考えてもう少し寝ることにした。この日はランニングできなかった。

 

次の日のことだった。

また友也は跳ね起きた。

(………しまった。また寝過ごしてしまった。今日も朝は走る時間ないな)

友也は少し損をした気分になったが、疲れていたから体が睡眠を欲してたんだなと思い、今日は夜に走ろうと決めて、会社へと向かった。

 

さらに翌朝のこと。また友也は跳ね起きた。

(…やってしまった)

友也は後悔した。昨日夜に走ろうと思っていたが、仕事が立て込んでいて帰るのが遅くなってしまったので、やっぱり朝に走ろうと決めていたのだ。

(………ここ数日走れてないな。そろそろ四月が終わってしまう。明日こそは走ろう)

そう心に決意して友也は会社へと向かった。

 

翌朝のこと。友也は素早くスマホのアラームを止めた。すかさず重たい体をベットの外へ放り投げた。

(よし、今日は起きれたな)

しかし、友也はダイニングの椅子に腰掛け放心していた。朝の貴重な時間は無慈悲にも友也を待ってくれることはなく、刻々と秒針を刻んでいく。

(そろそろ出ないと、ヤバイな)

そう自分を奮い立たせて立ち上がった。ジャージに着替えて、ランニングシューズを履き、ランニング用腕時計をして外へ繰り出した。

四月も終わりの頃、既に朝日は地上に差し込んでいる。太陽はその体の全てをさらけ出してはいるけど、暑さは全くなく、心地よい澄みきった朝の空気が広がっていた。

友也はゆっくりと走り始めた。走り始めは重たかった体も次第に芯から暖まり出してきて、軽くなっていった。それと同時に気分も上がっていった。

細胞が目を覚まして元気に活動し始めたようだ。

(やっぱ走り出すと気持ちよくなるな)

ランニングは走り始めは億劫だけど、いざ外に出て朝日を浴びながら走ってると気持ちよくなってくるものだ。体が元気になって今日一日の活力が沸いてくる。

(やっぱランニングいいわ)

友也はいつもの5kmを走り終えて青空を見上げながら改めてそう思った。

(あと今月は三回でクリアだな)

よし、今日も頑張ろうと会社へと向かった。いつもより足取り軽やかに。


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